昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

洗浄

崇める手の隙間、色彩すらあやふやな六月のよどんだ空に馳せ参じるもの、すべての怒りの発信源たる連中が放つ退屈な諦観、痩せ細った影を愛撫して、定めもなく彷徨う隙間からこぼれる僥倖、肉欲たぎる夏の市民権、ゲシュタポたちが迫る暗い廊下、焼夷弾が降る故郷と、最たる意味すら滅亡した機影、現時点を突き刺すグングニル、詩的な亡霊を愛して、司る位置からはみ出ていく瞬間の愛おしさが肥大して、刹那に生まれるセオリーにより、老化するのが、我々の使命だとか疎ましいよね、とスマホから聞こえるブヨブヨとした声が、鼓膜で膨張して、截然とした観念論を携えるたどたどしい人々が構築した物語がカチカチになり、誰もが豊かさを捨てて、バルガーなものの獲物になって、権力が漁る意図の奴隷になって、ちぐはぐな今の奴隷になって、担うもののスケープゴートとして運ばれる先々で衝突する面影がショートして、小さな火種が、やがて業火に変わり、必然性を謳う論難から、朴訥とした腫瘍が生まれ、デジタル化した彼女たちのリテラシーを食べて大きくなるルサンチマン、リロードされ続ける弾丸のような子供であった、と誰かしらがカタルシスに至るための、思い出話なんて退屈であるし、対価を生むための会話なんてものに、付き合っている暇もないし、卑下したり悲観したりしている暇もないのであって、出会ったり別れたりと、面倒なことばかりが、この場での心残りなんかを用いて、引き摺る思いの轍を眺めては、内外に放たれる物事により屈折した私の歪な神経を繋ぎ止めるための、ビニールテープを買い漁り、境目なく愛することにより、社会的地位なんてものは、不必要になり、緩慢ではあるが、確かに愛したことにより、帰路なんてものも、不必要になるのだ。