昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

バジュラ

俺たちは太陽の下で平等であると歌い続ける歌声、コンバースのスニーカーに過信した季節の汚れ、深淵のまにまに迫る怪物、遊蕩している雲、風景はデジタル化され、去り行く思いが枯渇して、肉食獣たちが理屈をこねては、思いが流動して、散漫な動機が捉える理由、猫に起こされた休日、陽の光の匂い、伝説的な君との会話、この夜でただひとり残った最後の者のように感じるの、と嘆く君の心音が、静謐をゆがませて、はびこる悪意を調律して、さらなる悪意を伝達するだけの情報に苦しみ、みすぼらしく今を吸い込むスポンジのよう、と君が孕む位置的な苦しみを包括するための高次に至る原理を用いて、数学的な伴侶をけちらして、軽薄な余韻にせまる価値転換から、回避するために逃げ回る君の柔らかな筋肉が記号化され、弁証法の杭を打ち込まれた若いだけの世界となじる間に、資本主義は見事に崩壊して、AIが働き、私たちは自由に泳ぎまわり、ひたすらに責任転嫁する時代の終わりを告げ、バビロンは大量の紙幣と貨幣という糞を生み出す肛門なのだと、オイディプス的な判断を排出するだけの誇大妄想に軋むフロイト的な分析に寄りかかるジレンマから抜け出して、「私は私からしか生まれていないし、産まれたとしても、それは母からでもなく、ただ自らが自らを絶えず分裂させ、似たような自分や誰かと同じようなものから分離し、独自の進化を遂げ、死からも生からも超越し、与えられた意味から乖離し、理解以前に現れた正しいとされるもの虐げられずに、独自の解釈で世界を翻す」というようなトリックスターでありたく、与えられた自己なんかをあっと言う間に飛び越して、与えられた義務などに苦しまずに、このゲームから超脱する。身体とは与えられた苦しみであると、病に苦しむ気配から簒奪される余韻、空白にせまるセンチメンタルな様子、チグハグな経路を進み、あてもなくさまよい続けた先には、ただ詩的なよろこびが敷衍し、普遍的なものを飛び越え、唯一な自分に行き着くように、自らを切り刻む。命はその辺で捨てられ、せまる死が、すぐ後ろにいて、ニセモノの生を搾取し、あたかも生きていたかのように崇められた君の死も、自らのセンチメンタリズムに侵され、侵略された精神は絶えず奴隷根性丸出しで、誰もが誰かを羨み恨み、だしぬくことばかりを考え、本質を見失い、真実をうやむやにしてばかりいるし、そこで素っ気なく労られる精神が担うものが匂い立つ。空間を握りつぶし把握する世界の広さ、ひるがえす朝に帰る家もなくなって、何が正しいかすらも分からなくなり、虐げられるだけの健気な日々、いびつな精神論や、異物感を与える金言なんかがビジネスライクにせまり、世界に制限を生み、この盛大な抑鬱空間の中で流行る情報的なカニバリズムと、離散する一切にふれあうほどに狂い出し酸欠に至り、誰もが呼吸できないくらいに恐れるパーソナルスペースの中で氾濫するウイルスとフレンドにはなりたくないから、君にも近づきたくないし、互いで移し合いながら、互いを恨むほどにどっちかは儲けて、どっちかが貧乏になる世界が嫌いだからって、平等を目指すのもいかれているし、どこを見たって平等なんてものがないからこそ、この命は瞬時に輝き弾ける星の終わりのようだね、と誇大妄想にひたるようなとこしえにあふれる大宇宙論的な科学的な判断から、アニミズムを通過し、観点をにごらせながら、拘泥するだけの君から放たれ、はびこる悪意を駆逐するためにバビロンを裏切り、バビロンの外でいちばんカッコ良いものでありたい。