昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

未来も嫌い

混沌とした世界が地続きになって、あらゆる病原菌を撒き散らす。黒くなった太陽が、光を出さなくなって、数十年が経った未来都市、マラリアを媒介した超巨大な蚊が飛び交う原理的な朝、アクアリウムで眠る観念が、ぬめり気を出し、散漫な意識は、儀式により消滅し、意思は統制され、誰もが同じ夢で眠っている。ヒステリックな科学者が支配する交差点、犠牲的な意思を埋め込まれた遺伝子が、外の世界へと旅立ち、人型の爆弾として、進化した深海魚たちと戦う朝、群像が吐露する明日への希望を、プロパガンダにする独裁者のエモートが流れてくるスマートフォンの中、自堕落な観念を吸い込んだ数多の粒子が突き刺さる現実感が雲散霧消した朝、枯れた木々を並べただけの地下帝国、貧相な影が交差する立体感がない人たち、試験管で産まれた私は、加算された理由を書き写すだけの仕事に就いて、三百年が過ぎた頃、告知された死を乗り越えるための、高濃度な栄養剤を、血液に流し込み、老けることもなくなった今に積み上げられていく歴史や歯石のようなものの、うとましさに、理由すらも損なった忌々しい現実に虐げられていくだけに至るような屈折した今、安定した気温を作り出す空調により、季節的な苦しみからは解放されたが、代わりに感情のようなものを損なったのだ、と、悲しみに暮れるクレバスみたいな皺をした老人たち、日差しすらも人工的に作られ、スラムでは、過去の異物を弄る短命な戦士たちが、日夜、漁り続けるゴミ溜めの仮数虚数、こじつけられた意味合いに迫る不潔な理由が流動しては、散漫な意識を吸い込む巨大な掃除機が、生き死に関係なく、すべてを無惨に吸い取り、与えられた値やノルマが、今を締め付け、使命感などという損なわれた思いを辿っては、今に損なわれていく理由だけが、延々と引き延ばされていく。