昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

分裂

結局は、何も変わらずに、時代に踊らされていただけだ、と60年代の残骸が語る。紀元前から発生した混乱の中でカスタムされる自由が即座に補完されるための犠牲になった父たち、複製された真実が、モーニングサービスとして運ばれ、諦観するだけの連中が示唆する破壊的な情事に参加するために、誰かを愛したフリをしている。人工皮膚を泳ぐ夜にだけ動く魚、たちまち骨になってしまう比喩を縫い合わせて出来たのが、この人工皮膚なんだな、とファシズムに利用されてしまった思想の中で蒸発してしまう愛に手向けられる動機から離反し、陰湿な結末にまつわるエゴが加速し、真理なんかを持ち出しては、惰性な時に吐き出されるエゴを、工場で延々と作り続ける先々では、退嬰的な今に結合されていく終わりの境目を切り裂いて、リリカルに生きる。アスファルトの砂浜、鉄格子の中に横たわる七面鳥の丸焼き、ドラスティックに過去を穿り返すだけの浄化作用により、裸眼になった二人の夏にちらばるふくよかな花茎、紊乱な心情に溶かすべき練乳、仲人は、洞穴で眠るクマ、空調機器の中で生活するネコ、困窮する意識をストローで吸い込み、未熟な動機から運ばれていく道理から解き放たれ、形式的な美を飛び越え、芸術的な伴侶と遊ぶ。浮腫んだ身体からあふれるパスワード、童謡にゆらぐ原風景、たちまちに縁取られていく予感を絵にするダリの隣で深呼吸し、故郷を捨て、敗残するだけの命に擦り寄る君の加工された日々、強要されるだけの思いの境目から、最たる意味すら、破棄された過ちばかりの今に迫る欺瞞や、不満足などに収斂されていく動機を補完するためだけに、誰彼構わずに傷つける人々、幼稚なギミックにより、瑞々しい主観が凍りついて、もう身動きすら取られない、と嘆く君の面影が焦げ付き、高揚感を延々とたずさえ、度重なるエゴに反し、無目的なままに寝転がり、何もせずとも、なんともなく、なんとなく生きてくたばる。劣等感をたずさえた域を冷凍保存して、またいつか蘇らせてくれよ、とAIに告げ、償いなんてものは、所詮は、与えられた罪であるから、そんなものは、破棄してしまえ、と叫ぶ隙間から現れた曙光。凡庸でクラシカルな思い出の凡庸さが、ぼんやりと照らす光との呼応。