昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

圧縮

感覚器官と物事の優劣、漂うジレンマと、慢心ばかりの街、青空の下、埋葬された君の理念や理性のようなもの、ヒュペリーオーンと会話するヘルダーリンの横顔、ブラウン管を食べ尽くすケルアックとの旅路、粉末状の恋を啜るバロウズの朝食の皿の中、モータウンが生み出したあらゆる音との交わり、レゲエが促す解放の進路、耕す今に生まれた窮屈な衣装を脱ぎ捨てるディーバたちの後ろ姿、カフカの幻覚的な小説の中で、飛び散る血飛沫、チフス菌により苦しむインカ帝国の王や、ギンズバーグが生み出した恍惚とした韻律をよじ登る私は、世界の狭さに驚いて、宇宙に逃げ帰っては、恬淡無碍なままに、今を切開して、そこにチョコレートなんかを詰め込んで、悲しみにざわめく木々と踊るダンサーたちや、立場をわきまえろなどと、講釈をたれる口を縫い、飛行機雲をよじ登り、成層圏を突き抜け、太陽系から旅立ち、銀河に別れを告げ、この宇宙から、違う宇宙に旅立ち、パラレルワールドの中で、寂寥たる思いを募らせては、ここで蠢くほどに、生まれる懸隔や、願い事すら届かなくなったところから、滞りなく愛は敷衍し、爽やかな午後に降り注ぐ災いを払いのけ、データ化された倦怠感や、物事の末路、物憂げな君の尺度や、意思的な敗残や、形あるものの末路、悲劇的な自己救済や、利便性を屠るだけの国家、何事にも平伏さずに、排斥されるだけの理由が流動し、大聖堂に積もる雪を眺める物乞いたちの、微かな命のざわめき、恋の彼方で踊る羽虫たち、タータンチェックの波紋、猥雑な観念に厭世観が押し寄せ、憂鬱に飲み込まれ、連帯感なんかに騙され、簡単に今を消費しては、寂寞を絡めとる大きな箸、児戯的なものに苛まれては、脊髄反射的に避ける隙間からこぼれる火の光や、ふやけてゆく日常の形跡、退屈な今に凝り固まっては、結合されたり接合されたりと、忙しく動き回るだけの日常から解放されては、損得感情だけに苛まれる事なく、自らの価値だけで、今を書き換えてゆく。f:id:jibmfmm:20250514031156j:image